個人事業主としてフリーの活動を始めたら自身でお金の管理が必要不可欠になります。領収証の保管などさまざまな管理をしなければいけませんが、特に銀行口座についてはプライベート用だけだと収支管理が難しくなってきます。
今回は個人事業主になったらメリットしかない事業用口座についてご紹介します。
1. 事業用口座を作る理由
個人事業主になると収支をプライベートと分けなければいけません。そうなるとプライベート用の銀行口座だけだと生活費と混合するため、管理がとっても大変です。そこで事業用として専用口座を作成しておくと財務状況についてしっかり把握することができます。
もちろんプライベート用を使うことは違法ではありませんし、事業用を作ることが義務でもありません。
ただ、個人事業主として活動を続けていく上で事業用を別に持っておく方が圧倒的に便利なのです。
2. 事業用口座のメリット
大きく分けて3つありますのでそれぞれについて具体的にご説明します。
2.1 財政状況の把握ができる
入出金を1つの口座で管理することで事業において発生したお金の流れが明確になります。
売上と経費とを通帳で確認することで収益がどれくらいなのかを把握でき、お仕事の計画を立てやすくなります。
2.2 確定申告時の手間が少ない
確定申告では事業での収支のみを申告しなければいけません。プライベート用の入出金があると1件ずつどちらで発生したものなのか確認していく必要があります。
事業用のみの通帳であれば、きちんと事業において使った経費というのがはっきりしているので帳簿付けの際の手間が格段に省けます。またプライベート用の費用が間違って事業用経費として計上されてしまうのを防げるのでより正しい申告ができるようになります。
2.3 税務調査に対処しやすい
個人事業主として活動を続けていくとどなたでも税務調査の対象となる可能性があります。
もし税務調査となったら収支関連の書類などを提示しなければなりません。通帳の内容ももちろんチェックされますので、事業用とプライベート用を1つにしていると必要経費の中にプライベートの費用が含まれているのではないかと疑われるきっかけにもなりかねません。
いつ税務調査となっても対処できるよう事業用とプライベート用を完全に分けておくと安心です。
3. フリーランスにおすすめ「屋号つき口座」
屋号を持っている場合、屋号つきの口座を作ることもできます。「屋号+個人名義」として開設できますので個人用口座との区別もしやすいですし、取引先への信頼度も上がるのでおすすめです。
屋号つきの銀行口座はメガバンクや一部ネットバンクで開設ができます。その際にはいくつか必要なものがあります。またどちらの銀行であっても申し込みから開設までに1~2週間ほどかかってしまうのでしっかり準備しましょう。
特に開業届の控えは税務署に届け出る際に用意しておかないと入手できませんので要注意です。
4. 屋号つき口座を開設できるおすすめ銀行
おすすめの3つをご紹介します。
開業後、半年を経過している場合、事業内容を載せているホームページを持っていれば開業届の控えを提出する必要がないため開設までの手間が他行より少ないです。
また、ビジネス口座を開設すると無料でVISA付きキャッシュカードが発行されます。
ネットバンクですので各種コンビニATMにほとんど対応しています。ネットバンクなので通帳はありませんが、すべてインターネット上で明細を確認できるため記帳漏れの心配もありません。
注意する点としては3万円未満だと出金だけでなく、入金の場合もATMの利用手数料が発生しますので少額を頻繁に移動させることには向いていません。
振込手数料はネットバンクの中では少し割高ではありますがメガバンクに比べれば断然安いです。
他行から振り込まれるだけでもポイントをもらえますので楽天のサービスをよく使う方にはおすすめです。各手数料も利用回数によって会員ランクが設けられていて、取引回数が多ければ多いほどひと月の無料回数が増える仕組みになっています。
デメリットとしては会員ステージが低いとATM利用手数料はとても高くなってしまいます。また、「楽天銀行ビジネスデビットカード(JCB)」を無料で発行できますが年会費1,080円(税込み)がかかってしまうので注意です。ただし、利用金額の1%がキャッシュバックされる高い還元率なのですぐ元が取れそうです。
特に気をつけなければいけないのが屋号つき口座を作成する前に個人口座を開設する必要があります。ただ個人用も持っていて不便はないのでデメリットというほどではありません。
- ゆうちょ銀行
振替口座であれば唯一「屋号」のみで開設できる口座です。ほかは「屋号+個人名義」が必須となっているので屋号だけでも開設できるのは魅力の1つです。また、ネットバンクでは不安という方にとっては馴染みのある郵便局という安心感もあります。郵便局のゆうちょ窓口での申し込みが必要となります。
気をつける点として、総合口座と異なり、キャッシュカードや通帳がないことと、払い出しなどは申し込み時の指定した郵便局の窓口でしか行えません。ただし、これらのデメリットも「ゆうちょダイレクト」というネットバンクを利用することで入出金確認や振替などをパソコンやスマートフォンで行えます。
5. まとめ
新たに口座を開設することは費用もかかりませんし、手間もそんなに大変ではありません。プライベート用と事業用を分けておくだけで経理面ではかなり楽になりますので、まだ分けていない方にはおすすめします。