【初心者向け】フリーランスの経費の基本

【初心者向け】フリーランスの経費の基本

2017.03.08 15:00

お久しぶりです。経理担当の窪田です。

現在、確定申告真っ只中ですね。フリーでお仕事をされている方にとっては必ずついてまわる一大イベントと言ってもいいかもしれません。

GIKUTASのイラストレーターのみなさんの中にはすでにフリーランスとして活動されている方も多いかと思いますので大詰めではないでしょうか。

また、確定申告を経験していない、最近フリーランスでお仕事をはじめたばかりの方、これからフリーランスを検討されている方もいらっしゃるかと思います。

今回は確定申告の中でも、売上を上げることと同じくらい重要な経費について基本の基本をお話させていただきます。

来年初めての確定申告を控えているフリーランス初心者のイラストレーターさん必見です!

0. 経費の基本ポイント

  • 経費の管理で節税につながる
  • 仕事用はOK プライベート用はNG
  • 領収証、レシートは必ずもらう
  • 捨てないで!申告後の保存義務あり

経費について基本的なお話をしますので「もう知ってるよ」という方でも復習がてらご覧いただけるとうれしいです。

 

1. 経費ってなに?

「そもそも経費ってなんだろう?」というところからご説明します。

個人事業主にとっての経費とは「事業で使ったお金」のことです。業務に必要な支払いなので必要経費ともいいます。

逆に事業と関係ないものは経費にはできません。

仕事をする上で必要なものなので、たとえば、パソコンやインターネット代などは該当しますが、プライベートでの旅行は経費にはできません。

 

経費が大きく関係するのは「所得税」です。個人事業主にかかる税金のうちの1つで、一定の儲け(所得)に課せられる税金です。

▼所得税の算出方法

上記計算式のとおり、経費が多いほど納税額は少なくなるので経費の管理をきちんとすることで節税にもなるのです。

 

2. どこまで経費にできるの?

プライベートな費用は原則NGですが、フリーのイラストレーターさんは自宅を仕事場にしていらっしゃる方が少なくはないかと思います。

その場合、仕事で使っている分の家賃や水道光熱費などを「家事按分(かじあんぶん)」という方法で経費にすることができます。

 

イラストレーターさんに関係してくる代表的な支払を以下にまとめました。

◆ 経費にできるもの

※カッコ内は勘定科目(経費の種類)です。
  • 家賃、水道光熱費(地代家賃、水道光熱費)

自宅でお仕事をしている場合は、家賃、駐車場などを作業で使用している平米分を経費にできます。

水道代、電気代、ガス代なども使用分のみ経費として扱えます。

  • 個人HPにかかるドメイン取得などの費用や年賀状(広告宣伝費)

ポートフォリオや制作実績を掲載したHPは立派な事業活動の宣伝です。

クライアントに向けた年賀状や暑中見舞いなどもOKです。

  • 振込手数料(支払手数料)

報酬を振り込まれる際に差し引かれる手数料や確定申告を税理士へ依頼した報酬などが該当します。

  • 交通費、宿泊費(旅費交通費)

電車やバスを利用する場合はもちろん、仕事で自動車を使う場合はガソリン代や高速道路代も経費にできます。

  • 書籍代、有料メールマガジン代(新聞図書費)

イラストの勉強をするための本や、情報収集に使った有料サイトやメールマガジンも経費にできます。

  • 電話代、インターネット代(通信費)

電話代やインターネット料金の他、切手代なども計上することができます。

  • 飲食代(接待交際費)

クライアントとの打ち合わせに使った食事代なども経費にできます。

その場合、いっしょに食事をしたクライアント名、人数などメモしておくといいでしょう。

  • お歳暮、お中元(接待交際費)

仕事上の付き合いでお贈りしたものであればOKです。

  • パソコンなどの修理代(修繕費)

性能を上げるための修理は対象外なので注意が必要です。(新たな資産の購入とみなされるため)

  • 自身でできない仕事を業者に依頼した費用(外注工賃/外注費)

HP運営や電気工事などを業者に頼んだ場合の費用です。

  • 個人事業税や印紙税などの税金(租税公課)

個人事業税や固定資産税、印紙税、印鑑証明など公的な書類の発行にかかる手数料です。所得税、住民税は経費にできません。(「経費にできないもの」参照)

  • 文房具、インク代(消耗品費)

10万円未満のパソコンも消耗品費として計上できます。

  • パソコンやイスなどの高額な備品(減価償却費)

一括して計上せずに、数年に分けて経費化できます。白色申告の場合は10万円以上、青色申告の場合は30万円以上を計上できます。

 

◆ 経費にできないもの

事業に関係のない、プライベートな費用はすべて経費にはできません。

わかりやすいものを例にあげてみます。

事業用と個人用で混合して使用しているものは、仕事での使用日数や時間で按分すれば問題ありません。

とにかく重要なのは「仕事用はOK」「プライベート用はNG」とだけ覚えておきましょう。

 

3. 領収証は金券と同じくらい大切です

経費として確定申告にするには、「お金を支払った」証明がとても大切になります。

お仕事にかかわった領収証であれば経費に計上できるので、とりあえず領収証はすべてとっておくことをおすすめします。

 

◆ レシートでもOK

必ず宛名のある領収証である必要はありません。レシートも十分、経費として認められます。

レシートにはお店などの支払先、日付、品目、金額と細かく記載されています。レシートを発行されたらわざわざ手書きの領収証をもらわなくてもいいのです。

宛名や但し書きのない領収証よりもずっと信頼性の高い有効な資料です。

 

◆ クレジットカード明細も保管しましょう

クレジットカードでの支払いをした場合などは、カード会社から送られてくる利用明細も経費の証明となるのでしっかり保管しておきましょう。

プライベートでの出費と同じ明細であれば仕事で必要な支払いにチェックを入れておくとよりわかりやすいです。

 

◆ レシートがない!どうすればいい?

ICカードを使った交通費であればWEBや自動券売機で履歴を発行できます。

また精算書や出金伝票を使っても問題ありません。その場合、日付、利用区間、金額を記載しておきましょう。

出金伝票は100円ショップなどで手軽に買えるので1つ用意しておくと安心です。

 

4. 経費の保存は義務です

法人と同じく個人事業主にも、領収証の保存義務があります。確定申告のときに使うだけではないのです。

 

◆ 保存期間

※請求書などほかにも保存義務のある書類はありますが今回は領収証のみの保存期間を記載しています。

 

 保存のためにも確定申告のときのためにも、何でもかんでも無造作に箱に入れておくだけでは探し出すときにかなりの労力が必要です。

だからと言って、1枚1枚台紙に貼って・・・という作業は、ただでさえお仕事で忙しいみなさんにとってはたいへんですよね。

いつ何にいくら使ったのかを証明できればいいので、ある程度整理しておくだけで十分なのです。

 

◆ ラクチンな整理の方法

面倒なことはできる限りシンプルがいいですよね。簡単な整理方法をご紹介します。

以上です。

めんどくさがり屋さんでもこれくらいはしておきましょう。月別に整理しておくだけでだいぶ楽になります。

几帳面な方であれば、さらに項目ごとに日付別・日付順に仕分けておく、どんな目的での支払いなのかをレシートの裏面にメモするなどしておくと確定申告の際、「やっていてよかった・・・!」と思うこと間違いなしです。

 

確定申告のあとは、請求書などのほかの書類とあわせて1年ごとに同じダンボールにしまっておきましょう。

繰り返しになりますが、保存義務のある大切な書類です。間違っても捨てないでくださいね。

 

5. 補足

「白色申告、青色申告ってさっきから言っているけどそもそもなに?」という方もいらっしゃるかもしれないので、ざっくり簡単にご説明します。

以前、白色申告は記帳の義務もなくより簡単なイメージではありました。

しかし現在、記帳だけでなく必要書類の保存も義務づけられているため、あまりメリットがなくなってきています。

青色申告は少しの手間で節税の効果が大きくなるので、早めに慣れておくといいかもしれませんね。

 

6. さいごに

フリーになることで不安なことの1つにお金の管理があると思います。

お仕事に集中したいのに事務作業もすべて自分で行わないといけない・・・わかってはいるけど後回しにしてしまいがち・・・

ですが売上を上げることに比べて、経費をきちんと管理していくだけで節税でき、資金繰りも楽になります。

はじめての確定申告、次年度の確定申告に向けて準備をはじめていきましょう。