【将来は大丈夫?】フリーランスの年金について考えよう

【将来は大丈夫?】フリーランスの年金について考えよう

2017.06.27 19:02

みなさんは年金について考えたことはありますでしょうか?

個人事業主の方は国民年金を納付している方が多いかと思いますが実はさまざまな種類の年金があります。

いまは納付している金額のことを気にしてしまいますが実際に受給するときのことをイメージしてみてください。

個人事業主は定年がないとは言え、若いころと同じような働き方を維持し続けるのは難しくなるかと思います。まだ早いとは思わず、働けるいまから老後の準備をしておくと安心です。

今回は将来の不安を少しでも軽減するために年金の仕組みや個人事業主なら知って損はない年金についてご紹介します。

 

1. 年金ってなに?

よく耳にする年金。知ってはいるけれど仕組みまではいまいちわからないという方も少なくないのではないでしょうか。

「国民年金」「厚生年金」は聞いたことある方は多いかと思います。この2つは「公的年金制度」といいます。もう1つ「共済年金」を含めて公的年金は3種類あります。

公的年金は2階建て構造と言われています。

国民年金は「基礎年金」とも言われており、「1階建て部分」となり、ほとんどの方が加入しているものになります。

厚生年金、共済年金は国民年金を含み上乗せされた年金制度です。いわゆる「2階建て部分」のことですね。

どの年金に加入するかは働き方によって異なります。

個人事業主の場合、厚生年金や共済年金の制度は受けられません。

 

では国民年金についてもう少し細かく見ていきましょう。

国民年金は「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」と3種類があり、どの制度に加入するかにより、保険料の納め方が異なります。

個人事業主はほとんどの場合、国民年金の「第1号被保険者」に加入することになります。

 

 それぞれ国民年金保険料を払うことでもらえるのが「公的年金」です。「公的年金」と聞くと、高齢になったときに受け取るイメージはありませんか?

意外と知られていませんが、条件はあるものの公的年金制度の種類に関係なく以下のような基礎年金の給付を受けられます。

 

また厚生年金、共済年金の加入者は上記基礎年金に上乗せして「2階建て部分」がさらに給付されます。

 

ここまで公的年金について仕組みのお話をしましたが、気になるのは「2階建て部分」ですよね。

どれくらい違うのか比べてみましょう。

 

2. 国民年金と厚生年金はどれくらい違うの?

老後に受け取る「老齢年金」で比較してみると金額の差に驚きます。

 

厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準です。

 

なんと9万円もの差額があります。

夫婦二人で比較しましたが、もし老後一人で生活するとなれば、月に65,000円しかもらえないとなるとかなり生活に不安を感じます。

ほかの年金についても国民年金だけの場合、保障が少ないのが現状です。

 

このように個人事業主の方にとってかなり影響してくるのが「2階建て部分」です。

前項でお伝えしたように「1階建て部分(基礎年金)」はどの年金制度であっても同じく加入する仕組みとなっていますが「2階建て部分(厚生/共済年金)」は個人事業主の場合、加入することができません。

そのため、足りない分を自身で補っていく必要があります。

 

3. 年金を増やすには?

公的年金ではどうしようもできない2階建て部分であってもいくつか補う方法はあります。

特に加入しやすい以下の任意加入の年金制度についてご紹介します。

 

 

◆付加年金

月々400円の付加保険料を定額の保険料に上乗せして納めることで、将来、受給する年金額を増やすことができます。受給する際は「200円×付加保険料納付月数」分をもらえます。

 

たとえば、40年間付加保険料を納めたとします。

納付額:400円×480ヶ月=192,000円

受給額:200円×480ヶ月=96,000円

 

受給額は毎年変わらず給付されるので上記の場合、毎年96,000円が基礎年金に上乗せされます。つまり、2年間で元が取れる計算となります。付加年金は終身年金ですので長生きをすればするほどお得です。

ただし、後に説明します国民年金基金との併用ができません。

 

◆国民年金基金

国民年金(老齢基礎年金)とセットで、個人事業主など国民年金の第1号被保険者の老後の所得保障の役割を担うものです。加入すると厚生年金のように国民年金に上乗せし、「2階建て部分」とできる公的年金制度です。

国民年金基金の掛金は、最大月額68,000円まで利用でき、少額から設定でき、月々の掛金を増減することもできます。次にご紹介する「確定拠出年金」との併用はできますが上限金額は合算で最大月額68,000円です。

 

デメリットとして、途中解約ができません。また、国民年金(基礎年金部分)の保険料を滞納した場合には、その滞納期間に対する国民年金基金の給付は受け取れません。

さらに大きなデメリットとなるのが物価スライド制に対応していないという点です。

これを安定と受け取るか損と受け取るかは慎重に判断したいところです。

 

しかし税制面でかなりお得なのが国民年金基金です。

掛金は、全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。さらに受給時にも公的年金等控除も受けられます。

これは個人事業主にとってかなり魅力的ではないでしょうか。

 

 

◆確定拠出年金(iDeCoイデコ)

一定の掛け金を設定し、自分で老後の年金を運用しながら積み立てていくものです。

ほか同様、国民年金の上乗せ年金となりますが、運用商品と掛金を自分で選び運用していくという点で国民年金基金とは異なります。

近年、加入者が増加している注目の年金です。理由としては以下のメリットが挙げられます。

 

注意が必要なのは将来の受給額は運用結果により上下することです。掛金総額に比べて大きく損をする場合もありえます。運用は自己責任ということですね。

受け取りについても60歳までできませんが、年金なので損しているということにはなりません。老後の積み立てですのでむしろ引き出せないというのが安心です。

 

国民年金基金は制度が似ていますが、近年、積立不足により利率が下がってきています。しかし、確定拠出年金はすべてが個人単位で管理されていますのでその心配もありません。

商品性は大変優れていますのでこれから任意年金の加入を検討される方にはおすすめです。

 

◆小規模企業共済

年金とは少し異なりますが、共済を活用するのもひとつの手段です。

小規模企業共済は個人事業主が事業を廃止した場合や会社等の役員が役員を退職した場合など、積み立てた掛金に応じて共済金を退職金のように受け取れる制度です。

掛金を全額控除、解約手当金を退職所得にできるなど節税効果の高い制度となっています。

 

ただし、短期間で解約してしまうと掛け捨てや元本割れになる可能性があります。

また、掛金を途中で減額する場合も運用されないといった大きなデメリットはあります。

 

それでも掛金は月々1,000円~70,000円(500円単位)から選択でき、加入期間が長ければ長いほど得をしますので、適正な掛金設定さえできれば損はしないでしょう。

 

4. さいごに

「きちんと貯蓄をしているから大丈夫!」という方も「やっぱり不安だよ・・・」という方も年金の仕組みを理解して将来の自分のためにご検討してみてはいかがでしょうか。