ソーシャルゲーム企画に必要な8つのステップ 〜とあるプロデューサーのゲーム全クリまでの道〜

ソーシャルゲーム企画に必要な8つのステップ 〜とあるプロデューサーのゲーム全クリまでの道〜

2012.10.18 10:30

初めまして。おがうぇいこと、小川陽平と申します。
株式会社サーチフィールドのソーシャルアプリ事業部でプロデューサーをやらせてもらっています。

その名の通り、ソーシャルゲームのネイティブアプリを研究・開発しておりまして、事業部一同日々奮闘しております。

私が担当する「ソシャゲ開発者の裏話」では、現在開発をしているソーシャルゲームのネイティブアプリ(iOS/Android)制作の裏側を少しずつ公開させて頂き、通りがかった人、同業界の人に叱咤激励してもらう、とってもマゾなブログになります。

ソーシャルゲーム企画の8ステップ

さて、初めての開発者ブログということで、今回は「ソーシャルゲーム企画に必要な8つのステップ」を紹介させて頂きます。

尚、今回は「チーム」「目標売上」「予算」はすでに決まっているという前提です。

それでは実際に8つのステップに沿って企画をしていきましょう!

[1] まずは心構え!自分の考えやすいフィールドを作る

前提として僕は頭が悪いです。難しい言葉を羅列されても右から左タイプです。

そしてゲームが好きです。 特に「ドラゴンクエスト3」が好きです。

そこで、どんなプロジェクトをやるときも、自分が考えやすいようにまず下記の様な心構えをします。

「プロジェクトは冒険だ!そして、キミは勇者だ!
王さまの話を聞き、仲間を集めてパーティーを編成し、レベルアップに勤しみ、最高のクリアを目指す。
――なんのことはない、昔っからゲーム相手にしてきたことと一緒じゃないか」

ゲームをやっている時の「ワクワク感覚」そのままに、プロジェクトの現場を捉えなおす。
そうすると、今まで苦手だった事も、まるで得意な事のように進められます。

[2] 市場調査はゲームの攻略本をつくる気持ちで

企画を考える上で、まず最初に市場調査をします。
ただし、ぼくの場合は「まずは市場調査を行おう」ではなく「ここを起点に攻略本」を作ろうと考えます。

市場調査は「攻略本」でいう「ゲームをはじめる前に」です。
この先冒険をしていけば色々記述しなければ行けない事が出てきます。

「モンスター情報」=競合
「魔法」「技」=メンバーのスキル

などなど、攻略本の情報に当てはめていきます。
そうすることで、「誰でも見やすいドキュメント」ができます。

なぜゲーム攻略本に例えるのか、というところですが
もともと、ゲーム攻略本がある理由は、「ゲームの内容をわかりやすく、誰でも読めば全クリできる」
という所にあります。

企画を考え、その後の運用・開発等を考えたときに
作成しておいたドキュメントを見て分かるのが自分だけでは、まったく意味がありません。

デザイナーさんやプログラマーさんが、ぱっと見で分かるものを用意しておく事。
コーダーさん、プランナーさんが簡単に加筆できる事。
専門用語の注釈や、難しい言葉の意味を分かりやすく書いておく事。


そういった小さな事が重要です。

チーム全体で攻略本を作る・理解する事により、チーム全体のスキルアップにも繋がります。

そして、最後のボスを倒し、最終的に全クリをしてできた「攻略本」は次の新しい冒険をするときに役に立たせます。

「ナレッジ」につなげて、しっかりと「PDCA」を回すということを心がけています。

[3] 企画の方向性を次の3つから選ぶ

ソーシャルゲームの企画を考えるとき、下記の3つのうちどれを狙うと、より新規性のある売れるサービスが創れるのか?ということを意識して企画を始めます。

  1. ありそうであるもの
  2. なさそうでないもの
  3. ありそうでないもの

1,ありそうであるもの
競合サービスが既にある場合は一定の差別化が必要です。
作り方によっては競合に勝てる要素も十分にありますが、「新規性」という意味ではやや弱いかもしれません。

2,なさそうでないもの
「なさそうなもの」というのはNeedsやWantsがまだユーザーの中にない場合が多く「時期尚早」で失敗するケースが多いです。
そのサービスを提供したところでユーザーがその斬新すぎるアイデアについていけない場合が多いように感じます。
※ ニーズ(Needs) – 消費者の「意識化された」必要性 =「足りないもの」
※ ウォンツ(Wants) – 消費者の「意識化されていない」欲求 =「あったら良いもの」

3,ありそうでないもの
「ありそう」というのは要は「言われてみれば確かに欲しいかも!」とイメージできそうなものの事をいいます。
そういったものでさらに競合がない状態というのは、 新しいサービスを展開する上でベストな状態であるといえます。

基本的に売れるサービスを狙う場合は「3」が答えになると思いますが
ソーシャルゲームを作るときは、「1」と「3」だと僕は考えます。

ちなみに、今回のソーシャルアプリ企画の方向性は

「他のアプリの良いとこ取りをして、どこか1カ所をフックとしてちょっとだけ新しい事をやろう」

これに決定しました。

[4] 企画書作成 その1 〜まずはやりたいこと全部乗せ〜

市場調査が終わり、アプリ制作の方向性が決まったところで 企画書に手をつけます。

調査結果を元にジャンルや世界観などの「何がリリースまでにトレンドであるのか」というところを
しっかりと定義した上で、まずは自分がやりたい事を全部羅列します。

「カードゲームだったら合成があって進化があって美麗カードで・・・」
「農園系ゲームだったら可愛いキャラがいてターゲットが女性で・・・」

まず一番始めに、自分なりのエッセンスをたくさん入れて
「自分がおもしろいと思う企画書」を組み上げていきます。

そうすると「自分がおもしろいと思う企画書」は比較的簡単にできます。
ここで「これ面白いのかな・・・?」と悩んでしまう企画は「愛」が足りないので僕はまた最初から練り直します。

そうして組み上がった企画書を見て1日ニヤニヤします。

弊社取締役の中山が言うには、段ボールが一番ニヤニヤするのに適している
そうです。

[5] 企画書作成 その2 〜予算にあわせて引き算〜

しかし、ここで最初のボスが登場します。「予算が決まっている・・・」

とりあえず上司に出してみる、というのも手かも知れませんが、僕は予算ありきの企画書の場合、予算内におさめるように調整してから提出するようにしています。

「この面白いものを作るために必要な予算っていくらなんだろう。どれくらいかかるんだろう。」

ここはパーティーの力を借りるところです。
プログラマーさんやデザイナーさん等とお話をしながら、大体の工数を出します。

結果として、オーバーしている工数分削ぎ落します。
削ぎ落して、工数内で収まった企画書を見てみます。

結果、つまらない企画になってしまったら、削ぎ落す前に戻し、再度練り直すか、もう一度企画を練り直しましょう。
予算内でも面白いと思える企画ができるまで試行錯誤を繰り返します。

[6] 企画書作成 その3 〜売上をシミュレーション〜

次のステップは、「これは売れるのか」というところです。
マネタイズを考え、どれくらいで売れるのか、というシミュレートを何度もします。

ちなみに「目標が決まっている企画」のほうが、目標から逆算していくだけなのでシミュレートはしやすかったりします。

[7] できあがった企画を事業部にプレゼン!

そうして出来上がったものを、事業部でプレゼンします。

「自分がおもしろいと思う企画」ができたとしても、周りがつまらないと言ったら、それで終わりです。
おもしろさを伝えられるようにしっかり準備をしてプレゼンに挑みましょう。

[8] 企画をチームでブラッシュアップ

こうしてプレゼンを通った企画を大黒柱とします。

それを元に、チーム内でブラッシュアップをはかります。
そうすると、他の人もたくさんの「いいアイディア」を持ってきてくれます。

ここで注意しなければならないのは「あれも入れたい、これも入れたい」という状態になったとき、しっかりと取捨選択の判断をしていくことです。

「いいアイディア」なんだけど、予算オーバーです。
「いいアイディア」なんだけど、今回のアプリの方向性とは違うかな。
「いいアイディア」なんだけど、企画がブレちゃう。

なんてことは、よくある話です。

本当にアイディアを活かしたい場合は、上司に予算の掛け合いをして、オクラ並みに粘ってみたり、「いいアイディア」をもとに大幅に企画を修正したり、次回の企画に繰越したりしましょう。

最後に

そして今、出来上がった企画をみんなで作っております。

今までこの業界で長い事やって来て、かなりの数、サービスをリリースして来ました。
運良く売れてくれたアプリもありました。

今回は目標ハードルもかなり高く、今までで一番練り上げましたし、苦労しました。

パーティーが素敵な方々ばかりで助けられてばっかりです。。。

この冒険は来年はじめ辺りまで続きますが
ちゃんと全クリできるよう、事業部一同頑張って参ります。

どうぞよろしくお願いします!