【イラストレーター必見!】 初心者からプロまで使えるイラスト製作講座(2)「本ラフ製作〜線画の描き方」

【イラストレーター必見!】 初心者からプロまで使えるイラスト製作講座(2)「本ラフ製作〜線画の描き方」

2015.03.26 11:30

みなさんこんにちは、アートディレクターのENOKITAです。

先日某クライアント様のテレビCMで弊社で制作したイラストが画面に堂々と出ておりました。
苦労したイラストではありましたが、イラストレーターさんと共に制作したイラストが紹介されると嬉しいですね!

さて、前回は導入と実作業に関する「指示書の読み方」から「構図ラフの描き方」までの流れをご説明しました。
2回目の今回は「本ラフ制作」から「線画の描き方」をご説明致します!

早速ではありますが、まずは前回のおさらいをしてみましょう。

今回の主題は、本ラフ制作ですが指示書から求められる重要な要素や仕様の確認は、構図ラフの時点で理解しておかなければなりません。
過去の仕様確認についてのログ

(参照: 【初級編】フリーのイラストレーターが指示書を受ける前に確認すべき4つのポイント
と合わせて前回のチェック項目である

・指示書のポイントチェック
・イメージを膨らませよう(表情・服装・構図)
・これまでの注意点に気をつけながら構図ラフを制作しよう
・構図ラフで注意したいポイント
を今一度確認して認識を合わせましょう。

上記の事で不安な点は、この時点で質問して疑問を解消しておく事もとても大事です。
本ラフの作業に入ってからの修正工数や負担を増やす結果を招いてしまいかねませんのでしっかり確認しておきましょう。

〈今回のチェック項目〉

  1. 構図ラフを元に本ラフを制作しよう
  2. 修正指示を確認してラフ修正をしてみよう
  3. 線画を制作してみよう

【1】構図ラフを元に本ラフを制作しよう

まずは前回の最後に登場した本ラフをもう一度みてみましょう!

ブログ用イラストラフ

構図ラフの時点で、前回のチェックポイントの意識や修正指示により初稿からとても精度の高いラフが出来上がってきたと思います。

構図ラフとは違い、本ラフは最終的なイメージが伝わる様に描いて頂く事が重要です。
線画には至っていないだけで、しっかりと設定を説明できる様に描いていきましょう。

細かな装飾のイメージは、指示書に記載されているものからイメージを膨らませたり
大半は担当イラストレーターさんの力量による事が大きいかもしれません。

イラストレーターさんから積極的に装飾をもって頂くとやはり大変嬉しいですね。

では、ここで本ラフに進む際の注意点をあげてみましょう!

 

■指示書の「服装イメージ」の要点を押える

そのキャラクターとして重要なアイテムや、個性を出すために要求されている装飾はしっかりと読み解きましょう。
たとえ魔女っ子と言っても、魔女っ子で連想する各アイテムの重要度は人それぞれです!
好きに描くのではなくどのアイテムや装飾が必要とされているのか理解する事が大事ですね。

 

■装飾部は特にデッサンに注意する

今回は構図ラフの行程を踏みましたが、最初から本ラフへ進む場合はキャラクターやアイテムの向き・パース等をしっかり意識して進めないと
装飾の角度や回りこみのつじつまが合わなくなったり、キャラクターの身体に厚みが無くなってしまいます。

 

■版権等の制約に引っかかっていないか

普段何気なく描いてしまっていたマークや文字は実は版権ものであったり、特別な意味が込められいる場合があります。

また自分の中では問題無いと思っていたけれど他の方が見たら倫理的に引っかかってしまうものがあったりと、実は落とし穴が多かったりします。

例えば....。

  • ルーン文字:かっこいいと思ってうっかり使っているとしっかりと意味があるので注意です。
  • 着物の反転:普通の着こなしでも、進化差分の案件でそのまま反転してしまうと「死装束」になってしまいます。
  • タイトなボディースーツ:ボディラインが分かり過ぎてしまうと案件次第では倫理的に引っかかってしまうかも。

いかがでしょうか?

「意外!?」と驚いてしまう様な事はありませんでしたか?。
次の項目では上記の注意点を踏まえ、今回の本ラフに修正を加えてみたいと思います。

【2】修正指示を確認してラフ修正をしてみよう

では早速、先ほどの注意点と合わせてクライアントがフィードバックを想定してイラストの修正指示を制作してみます。

↓↓↓↓↓コチラになります↓↓↓↓↓

0309_01

制作経験がある方々には見慣れた画像かもしれないですね。
一般的な修正内容では、修正して頂きたいテキストと合わせて「赤入れ」と呼ばれる修正線を入れたフィードバックをお送りする事が多いです。

まずはどのような部分に赤入れをしたかを簡単に説明致しましょう。

手足の見え方やボディバランスを修正!

ありがちなのは、服の無い状態で素体としてみた時、身体の軸がズレてしまっていたり見えない部分の奥行きの意識があまく、デッサンが崩れてしまったりする事です。

特に今回のラフ初稿では、ほうきに対して奥の足の付け根がうまく乗れていない様に見えたり奥の腕が描き込まれていなかったりしているのが気になりました。

また、手前の腕も冷静に身体の構造を見ていくと違和感がありましたので赤入れをしました。
その他の各部位にも指摘をすることになりましたが、結果として素体を丁寧に考える事が完成度を上げる秘訣かも知れませんね。

アイテムのパースや装飾の盛り方に注意!

ほうき等のパースをつけ易い部分はしっかりと厚みや幅などの変化を付けて前後感を出したいですね。
袖口やランタンを装着する金具などの回り込みも落ち着いて合わせていきたいところです。
せっかく足した小物でもすこし寂しくなってしまう時には、模様を加えて積極的に密度を高めて行きたいですね。

郵便マークなどをオリジナルに変えよう!

先ほどの注意点の様に、特定のマークを使う場合はある程度修正指示がきてしまう事を覚悟した方が良いかもしれません。
そうなる前にマークをオリジナルにする事をお勧めします。
その方が独自性が生まれるし、今回で言えば、よりファンタジーらしさが出てテーマに合うと感じました。

今回の修正指示を受けてラフを修正していくのですが
もちろん指摘しきれない細かい点もありますので、修正指示が出されていない部分でも
今回の修正指示を受けて、一度全体を確認して頂くことがとても大事だと思います。

では、上記の様な修正指示を受けて調整したラフが出来ましたので見てみましょう!

0309_02

修正指示も踏襲を頂いて良い感じになりましたね!
マークのデザインや手紙のパースなど、イラストレータさん自身でしっかりと対応して頂いており、良いものになっていると思います。

対応して頂いた内容は問題無いと思いますので、早速線画へ進んで頂きましょう!

【3】線画を制作してみよう!

ここまで来たらいよいよ後半戦ですね。
ここからは丁寧な作業が完成度に直結していきます。

それでは早速
イラストレーターさんに先ほどのラフ修正稿から線画を描き起こして頂きましたので確認してみましょう。

0309_03

やはりラフとは違い、整った印象になりましたね!

線画という行程は、後は塗りをするだけの完成系の線の事です。
ですのでここでのラフの様な擦れや二重線などは基本NGになります。

上の線画は概ね良い印象なのですが、ラフでは線が太いという事もあり綺麗な線画にするにはどのように線を選んでいくかも重要になります。

クライアントのフィードバックでは、線画選びの微調整やラフでは理解しきれなかった線の際の処理の直し等がここで行われるためあらかじめ線画のポイントを分かっていると良いかもしれませんね。

ということで、ここで線画を制作する際の注意点を見てみましょう!

■線画にも強弱をつける事が大事

いくら綺麗な線画といっても全てが同じ調子の線画では前後感や魅力が損なわれている可能性があります。
ラフでは印象が良かったのに線画にしたら...。そんな事も多いのではないでしょうか!?
パースが付いているものや手前のものは線画を太くする事で強調され前後感にメリハリが出てきます。
また、影のかかる様な部分の交差部分も線画を太くする事で影の調子を強調してくれるので小技として覚えておくのも良いでしょう。

■回り込みや際の処理の意識が大事

再三になってしまいますが装飾の回り込みや際の線は重要です。
ただ細かいだけについ気を抜いてしまうポイントかも知れません。

線を描いている時に描き始めと描き終わりが、つい手癖で細くなってしまったりしている事や楕円の回り込みが浅く回りきらないままつぶれている様な曲線とかありませんか?

際や線終わりなど全部大事です。
気を抜かない様に注意しましょうね。

■線画の丁寧さ、設定を見直そう!

先ほど線画の擦れや二重線などの指摘しましたが、さらに設定部分でも注意が必要です。
線の際がドットのようにギザギザしたジャギーが出ていると印象が悪くなってしまいます。
アンチエイリアスというジャギーを軽減する機能があるのでこの機能がかかっているか確認しましょう。

 

綺麗に線画を描くだけではなく、上記の部分を意識するだけでこのように見栄えが変わります。

ブログ用イラスト線画修正

一見変わっていない様に見えますが、
前の画像と見比べると全体的に調整が加わっていてメリハリが付いた印象になりました!

いかがでしょうか?
ここまで来たら着彩行程に入れる段階になってきたかと思います。
少し駆け足な解説になってしまいましたが、次回は「着彩稿制作とポイント」をお送り致します。

 

因みに、デザイナーでもない私ENOKITAですが
今回のイラストにより雰囲気を出すために、僭越ながらカード枠なるものを作ってみました。

ブログ用イラスト線画修正_枠

一般的なカードイラストによく使われる様な、あるあるエッセンスを見事に取り入れたところがポイントです。

弊社のアイコン、通称サーチ君が実に映えております。

最後に

いかがでしたでしょうか。
次回はいよいよ色が入ります。

キャラクターの詳細までお見せできるかと思いますのでお楽しみにしてください。
それでは、またー!