はじめまして!GIKUTAS事業部の笹淵です。めっきり春めいてきましたね!
この春から美大や専門学校でグラフィックを専門的に学ばれる方、また新入社員としてゲーム・イラストの業界で活躍される方もいらっしゃると思います。
私たちGIKUTAS事業部のクリエイティブチームも日々新しい技術・知識を身につけるべく、イラスト制作における勉強会を定期開催しております。
本日は弊社主催の第2回目勉強会「キャラクターデザイン」についてルポします!弊社からもイラストをご依頼させていただいている作家様に参加いただきました。
影井由宇 さん
http://www.pixiv.net/member.php?id=1342352
南シイ さん
http://www.pixiv.net/member.php?id=5006480
ふじさわ犬一 さん
http://www.pixiv.net/member.php?id=14310408
守若ごま さん
https://5o26.jimdo.com/profile-1/
ご協力ありがとうございました!
【はじめに】
とりわけ商業で活躍する作家様は一定の指示書の元、月に複数のキャラクターを、どんどん生み出していかなくてはならない時があります。
イラストの制作代理店である弊社であれば、監修するイラストは月に300枚を優に超えていきます。
「キャラの顔つきが似てしまう」「キャラの性格を表現する上で衣装デザインが煮詰まらない」「構図が大人しくまとまってしまう」などの壁に突き当たってしまう事もあるのではないでしょうか?
クライアントはもちろんの事、目の肥えたユーザーさんが喜ぶ「新しいキャラクター」を作り出すために意識されるポイントはどこなのでしょうか。
実際にプロの作家様として活躍される皆さんにお伺いしてみました!
ポイント①
「かわいい系」「クール系」・・・似たような性格の指示書から個性を引き出すためにやっている事
よく指示書で見かけるのは「おっとりした性格」とか「オレ様系」とか、同一のタイトルでも同じような性格のキャラの依頼が来る事が多々あります。そんな中で、それぞれのキャラに個性を与える方法をお伺いしました。
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キャラの性格や仕草、行動など“らしさ”を掘り下げて考えてから、構図や衣装デザインを起こすようにしています。
例えば「おっとり」という指示書内容でも「窓辺で本を読むタイプなのか」「いつも眠そうにしているのか」・・etcまで詰めていますね。
この子はどういう子で、どんな表情を浮かべるんだろう、と考えつつ構図ラフや顔つきを作るためです。おっとりは「おっとりらしさ」があるので大枠は絞られるのですが、この子はつり目、たれ目・・などバリエーションを意識して同じ顔にならないように差を出しています。
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な、なるほど!
指示書にある参考画像のままではなく、しっかりと作家様独自の解釈をイラストに足すことが大事なんですね。
ポイント②
衣装デザインを考える際の5つのポイント
ついつい、好きなもの・得意なものだけで構成してしまうと「あれ?また同じ印象の子になっちゃった」ということはないでしょうか?キャラに合った衣装デザインを起こす上で気をつけているポイントはどこなんでしょうか?
【1】まずはイラストからでなく文字から要素を整理していく!
まずは「和風」という大きなテーマがあった場合、このキーワードから連想するモチーフをテキストで起こしていきます。
「振袖」「月」「鎧」「桜」・・・・などなど。
その時に「フリル」や「ベルト」など別カテゴリのキーワードも組み込んでアレンジのポイントとして考えるのも◎
一度文字で頭の中を整理してから、キーワードを取捨選択・組み合わせてモチーフを絞っていくそう!
【2】やりがち!いろんな要素がありすぎて、ごちゃごちゃしてしまうのを避ける方法
まずテーマに沿った大きなモチーフを決めることが、ごちゃつかないコツとのこと。
確かに、あれも入れたい!これも入れたい!だと結果的にどこを見せたいのかわからないデザインになってしまいがちです!
例えば「チューリップ」とモチーフを決めたら、チューリップの特徴(広がる袖や花弁をモチーフにしたレリーフ等)で統一感のあるデザインを組み立てることも重要ですね。
【3】キャラ「らしさ」がでる衣装デザインとは
可愛らしい柔らかな印象のキャラをデザインしたい場合は衣装を曲線でまとめる、
逆にクールでかっこいいキャラをデザインしたい場合は直線を意識するなど、全体のシルエット感からもキャラの印象を整えていくそうです!
【4】脱マンネリ!衣装デザイン以外の参考資料
既存の衣装デザインを参考にするだけでなく、新しい要素を取り入れていくために「香水瓶」の意匠をモチーフとして取り込む、というお話がありました!
確かに衣装デザイン以外でも、例えばアールデコ調の建築物なんかも参考になるかもしれないですね!
【5】参考画像収集に超便利なサイト!「Pintarest」
参考画像集めはどのようにしているのか?というご質問では、皆さん「このサイトを利用している!」とのことでした。
初めて見る方は要チェックです!
5つのポイント、早速実践できる内容ばかりですね。ぜひ参考にしてみてください!
ポイント③
製作サイズはA4、でも実装サイズはスマフォの画面・・・見落としがちな実機サイズでの視認性を担保するためにやっている事
最近弊社でも「視認性」「潰れないように」・・・などのキーワードでクライアント様から監修されてらっしゃるな、と思うことが増えてきました。どんなに細かく、細部まで書き詰めても実際の表示画面は「1334×750px」以下に収まってしまう場合が多々あります。
その「実機サイズ」で一番魅力的に見えるイラストの描き方のコツをお伺いしてみました。
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ラフを起こす段階から、実機サイズのナビゲーションを表示させておいて構図を考えています。
小さい表示で見てみて、視認性が悪いと思ったパーツはサイズを大きくしたり、色を変えたり、いっそ無くしてしまうなどの判断をします。
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構図も長方形の画角サイズに均等に要素を納めるのではなく、「抜き」を作るために長方形の画角サイズの中で三角形のシルエット感になるように、キャラのポージングやエフェクトを配置をするよう意識しています。
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確かに!一番みてほしいところに目がいく、ユーザーの視線を集中させるためにも
メリハリをつけたバランスを作るのはとても大事ですね。
【まとめ】
皆さんのお話をお伺いして、常に技術向上の方法を模索され練習を重ねられている姿にとても感銘を受けました。
勉強会の合間に「今、これの勉強をしていて・・・」とか「この不足をカバーするためにこういう試みをしていて・・・」というお話をたくさんお伺いできました。
また自分が担当されているタイトルはプレイしたり、実況を追ったり、クライアントやユーザーがどんなイラストを欲しているのかの研究をして、ご自身の絵もブラッシュアップされるだとか。
「イラストのプロになる」という言葉はよく聞きますが、プロになることをゴールにするのではなく、いつまでも自分のスキルと向き合い、試行錯誤してより良いイラストを描き続けことこそ大事なんだと改めて痛感しました。
とりわけソーシャルゲームのイラスト制作の現場は、常に求められるタッチ・テイスト・クオリティが移り変わるスピード感のある業界です。
そこで「プロであり続けること」の大変さと皆さんの意識の高さに触発される勉強会でした!
次回は「モンスターイラスト」についての勉強会です!
乞うご期待!