こんにちは!株式会社サーチフィールド『GIKUTAS』事業部の野村です。
今は別のお仕事をされているけれど、いつかフリーランスのイラストレーターになりたい、と考えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
GIKUTASがお世話になっているフリーのイラストレーター様にも前職で別の経験をされている方がたくさんいらっしゃいます。
今回は前職は文具メーカーにお勤めになっていた『松うに』さんにフリーランスのイラストレーターになるきっかけやイラストレーターになってから大切にしている事などをお聞きしました!
■『松うに』さんのご紹介
フリーランスのイラストレーター様としてご活躍です。
http://www.pixiv.net/member.php?id=845177
前職では文具雑貨メーカー勤務、企画デザインのチームリーダーとしてディレクション業務に携わり、離職後、フリーランスのデザイナーとして活動、その後イラスト制作を始められました。
現在までに、ソーシャルゲーム、カードゲーム、ノベルゲーム、雑誌等の媒体でのキャラクターイラスト制作と、4コママンガの連載も担当され、オリジナルイラストの他、公式アニメキャラのグッズ用イラストなど多種多様な制作をご経験されていらっしゃいます。
──現在のご活動内容を教えてください
現在はソーシャルゲームのキャラクターイラストを定期的にご依頼頂いてます。
版権イラストの制作もしていまして、アニメグッズ等に使用されるキャラクターのイラストやSDキャラを描いています。
版権イラストはほぼ実績としては表に出せないのですが、たまに自分の制作した版権イラストがネット記事やまとめサイトに載ったりして、ひっそりと喜んでます。
オリジナルの絵柄はほぼ萌え系の女の子ばかりですが、版権イラストでは男性キャラも多く描いてます。
──オリジナルから版権イラストまで幅広く活躍されていますね!
イラストにはいつ頃からご興味を持たれていたのですか?
中学校の頃まではアニメやマンガ好きで落書きとかはしていたのですが、高校大学と柔道に専念してて、絵を描く環境からは長く離れてました。
社会人になってから何度か転職の末、少しずつ学んでいたデザイン系の職種に就く事になったのですが、その頃にアニメやマンガへの興味が再燃して、趣味で絵を描いてみようと思い立って色々買い揃えました。
まだ個人ホームページやBBSとか流行っていた頃なのですが、自分のHPを作ってイラスト掲載を2年位続けました。
そのうち会社の仕事が忙しくなってしまい、また絵から離れてしまい・・・。
絵への興味は子供の頃からずっとあったのですが、なかなか行動に移せなかったり、時間が取れなかったりで、ずるずると機会を逃してた気がします。
──お仕事が忙しくなるとなかなかそれ以外の事をするのが難しくなったりもしますよね。お仕事をされている中、どんなきっかけでイラストレーターを目指すことになったんですか?
前職が文具雑貨系のメーカーで、企画デザイン職に就いてました。
在籍が長くなった事もあって、後期は管理の立場に置かせて頂いたんですが、まだ現場の仕事に携わりたいという気持ちが強くなってしまい、年齢的にも今が最後のチャンスだと、思い切って離職してしまいました。
当初はフリーランスのデザイナーとして、前職の方々に沢山お世話になりながら活動していましたが、思わぬ所でイラストの依頼が舞い込んで来て、その仕事をデザイン営業時に見てもらううちに段々とイラストの依頼が増えていく様になりました。
版権イラストのお仕事も、元々はアニメグッズのデザインを請け負ってたのですが、担当の方にイラスト仕事のサンプルを見てもらえたのがきっかけでした。
──もともとは違うデザインのお仕事から徐々にイラストのお仕事になっていったんですね。
はい。当時はイラストレーターになる、というよりは、フリーランスでどこまで暮らせるかを模索していた所だったので、最初は少し絵も描けます位の売りになればと考えてました。
クライアント様の意向に沿ったデザインを納品してたのがイラストに変化したという感覚が強く、今も絵を描くというより作っているイメージです。
──それは元々イラスト専門でのお仕事ではなかった松うにさんならではの感覚かもしれないですね。現在もイラスト以外のお仕事もされているのですか?
有り難い事に現在は殆どイラストのお仕事廻りになってます。
本当に人と運に恵まれたと思います。
イラストレーターになる事は夢のまた夢で、今もイラストレーターと名乗れる自信は無いのですが、この業界でお仕事出来ている事にもの凄く感謝しています。
──イラスト制作についてはどのように学びましたか?
ほとんど独学です。PCで絵を描く知識は少しずつ興味本位で調べてはいたのですが、
本格的に学んだのはフリーデザイナーになってから、たまたま舞い込んだ絵の仕事を何とか完成させる為に必死で色々調べました。
──独学でほとんど・・ですか。すごいですね。イラスト制作はどんなソフトを使用されているのですか?
ラフ~彩色はCLIP STUDIO PAINTを使ってて、調整と仕上げはPhotoshopです。
クリスタが発売されるまでは線画までコミックスタジオ、彩色はPhotoshopでした。
デザイン系の仕事の関係もあってMacに乗り換えてたのですが、当時はSAIの様な手ぶれ補正機能のあるイラストツールがMacにはあまり無かったので、クリスタがMacでリリースされて、出来る事が少し増えたので助かりました。
デザイン制作はweb系のご依頼も頂いてたので、Illustrator以外にもFlashやDreamweaverも使ってました。
──ソフトも幅広くご使用されているんですね!普段は月に何枚くらいイラストを制作されていますか?
オリジナルのカラーイラストで大体月2~5点位、同時に版権イラストも進行してます。
版権イラストは監修の関係もあって、数ヶ月掛けての納品サイクルになってます。
オリジナルのみだと過去に必死で頑張って月9点制作したことがあります。
──作品制作の際、アイデアはどのように生み出しているのでしょうか?
あまり絵の蓄積がないので、出てくる指示書のキーワードはインターネットなどで徹底的に調べるようにしています。
キーワードを英語やラテン語とかで調べたりすると、思わぬヒントが見つかる事もあります。
──ヒントの見つけ方が斬新ですね!すごく勉強になります。作品制作の際、気を付けていることはありますか?
オリジナルイラストの場合、ほぼ萌えキャラを求められるのでとにかく可愛くなる様にを念頭に置いてます。
描く時は思い込みでも性格や物語を作り込んで、見た人の頭の中でキャラが動いてくれる様に願いながら、大丈夫と思えるまでは時間の許す範囲でやり直ししてます。
技術や表現で劣る所が多々あるので、せめて可愛さだけは伝わる様に・・・と、改めて口にすると、何だかとても恥ずかしいですが。
──そんなことないですよ!とても素敵な考えだと思います。
後は、キャラ単体での依頼が多いので、同じ手順でもなるべく派手な絵柄に見える様に努力しています。
俯瞰やアオリの構図を多用したり、体のラインを出しつつ、服や髪のなびきで画面を埋めたり、光源を下からにしたり等々です。人物に目を向けてもらえる様に、なるべく装飾品に頼らず見せ場を作る様に工夫しているつもりです。
──色々と気を付けていらっしゃるんですね。初めてのイラスト制作はどのようなお仕事だったのですか?
フリーデザイナーとして営業活動中に、前職の後輩経由で販促チラシの相談を受けたのですが、後輩は自分が絵が描ける人と勘違いして伝えたらしく、販促チラシをカラーマンガ形式で作って欲しいと言われたんです。
これはきっと好機だと思い「やります!」と二つ返事で答えました。
本当は自分もやれるかどうか分からなかったのですが、このチャンスを逃す手は無いと思い、線画を描けるコミックスタジオというソフトを見つけて、即日買って使い方を覚えて・・・。
突貫工事で何とか仕事を納められたのですが、意外とご好評を頂けていました。
この仕事が本当に好機になって、後のイラスト営業に繋がりました。
──チャンスを掴んだ形でイラストレーターとしての活動が増えていったんですね。
フリーランスになって大変だったこと、大事なことを教えてください。
フリーランスになってから通勤も無くなって、家族との時間も増えて、本当に感謝しかないです。仕事を実績として積み重ねていけるのも嬉しい事です。
とは言いつつも大変な事は、やはり生活が不安定な事で、一番辛いと感じたのはフリーランスを続けられなくなりそうな危機があった時でした。
フリーランスで大変な事って、自分にとってはフリーランスを辞める事なんだなと。
何度か色々な危機がありましたが、その度に多くの方に助けて頂き、今も何とか続けられてます。
自分なりに気を付けている事ですが、指示書からクライアント様の求めている意図を読み取って、自分の解釈でより良い提案を返せる様に心掛けてます。
業界は違うのですが、以前は依頼する側にいた頃の経験で、1つ伝えれば倍にして返ってくる様なデザイナーの方は本当に重宝していたので、そうなれる様に気を巡らせています。
──お仕事を依頼していた頃の経験も活かされているんですね。
フリーランスになるにあたり、ペンネームはどのようにして考えられたのですか?
昔勤めてた会社で、上司や先輩から松ちゃんと呼ばれてたんですが、あまりに松ちゃんと呼ばれすぎるんで「松」の下の名前が思い出せない、みたいな話になって。
「松うんたら」のあだ名のバリエーションが山ほど出来たんですが、ペンネームはその中の1つでした。HPを作る時にペンネーム決めないとと思った時、その頃の事を思い出して付けました。
当時は「何でもいいや」と思って付けたんですが、意外と気に入ってます。
いつか名付けてくれた人が何処かで自分のペンネーム見かけて、自分の事を思い出してくれたら良いなと。
──とてもすてきなきっかけでついたお名前なんですね。
では最後に今後やりたい仕事や、どのような活躍をしたいか教えてください。
最近になってようやくpixivに登録して、随分と久し振りに仕事外のイラストを描いてみたのですが、反応を頂けたりするのがとても嬉しかったです。
今までは運良く自分の作品で挑戦する事なくイラストのお仕事まで辿り着けたのですが、やっぱり個人を認識してもらえるのはとても嬉しいので、なるべく時間を作って趣味のイラストを増やしていきたいです。同人活動とかも凄く憧れています。
──私たちも今後もお仕事依頼させて頂ければと思います。
お話ありがとうございました!今後とも宜しくお願いします!
ありがとうございました!
おわりに
『松うに』さんのお話を聞いて、フリーのイラストレーターになるにはお仕事のチャンスをしっかりと掴むこと、またそれを次につなげるための勉強や努力がとても大切なんだと改めて気づくことができました。
また前職の経験が現在のイラストのお仕事にも多々活かされているんだなと感じ、色々と経験することの重要性も改めて感じることができました。